番茶、よく耳にするお茶の種類です。
煎茶との違い、どんなお茶なのかを紐ときながら、身体を酸化から守るその働きについて、書いていきたいと思います。
ばん茶の文字には、2種類あることお気づきでしょうか。
『番茶』と『晩茶』です。
一般的に目にするのは、前者である“番茶”かもしれません。
実はこの2つ、大きな違いがある言葉です。
『番茶』とは
緑茶を摘む際、最初に摘む茶を新茶と呼びます。これが、一番茶。以降、二番茶、三番茶と続くわけですが、三番茶以降は緑茶として市場に出回ることはありません。
とはいえ、二番茶を摘んだ後、チャノキは放置されるのではなく、次の年に良い新芽が芽吹くよう、整枝が行われます。その際、摘み取られる茶葉を飲むようになったのが、番茶の始まりだと言われています。
捨ててしまうのではないところに、チャノキへの“愛”を感じますよね!
『晩茶』とは
当初、晩茶は、徳島県で生産されている阿波晩茶のことを指していました。阿波晩茶とは、乳酸菌発酵を行って作られるお茶です。
完成した茶葉の見た目では良く似た番茶と晩茶ですが、“製法が大きく異なる”ということで、違う字があてられました。
しかし今では、それだけではなく、お茶を飲む雰囲気や伝統を表現する際にも用いられる傾向にあります。
『お茶』と言うと、やはり緑茶が有名ですし、注目されやすいのかもしれません。
新茶とも呼ばれる一番茶はとても柔らかな茶葉で、薫り高く、旨味成分(テアニン)を多く含み、大変美味しい緑茶となります。栄養価が高く、血管の健康を保つ働きがあり、健康を意識して飲まれている方もおられると思います。
これは二番茶も同様で、一番茶には少々劣ってしまうものの、新芽の旨味や栄養価が多く残る茶葉だと言えます。
それに比べると、三番茶以降は成分が大きく変化します。茶葉は大きく、硬くなり、旨味成分であるテアニンの量も1/3程にまで減少してしまうのです。
しかしながら、番茶には素朴で、ほっこりとした美味しさがあります。テアニンは減ってしまいますが、代わりに、カテキンやカフェイン、タンニンを多く含むようになります。これらも、茶葉特有の有効成分。そのまま廃棄してしまうのはもったいないですよね。いにしえの人も、その成分を知ってか知らずか、番茶が作られることとなりました。
日本各地、どの産地においても番茶は作られていることから、茶農家さんの“もったいない”という優しい気持ちが生んだお茶なのだと言えるのかもしれません。
身体を酸化から守る『番茶』
先ほど、新茶とは異なり、番茶にはカテキンやタンニンが多く含まれていると書きました。
カテキン、タンニンは、ポリフェノールの一種。
少し前に、『ポリフェノールが多く含まれる赤ワインにはアンチエイジング効果がある』と話題になったこと、ご存じでしょうか。もちろん、カテキンやタンニンも同様です!
カテキン・タンニンは抗酸化作用を持ち、身体の酸化を防ぐ働きがあります。酸化によって引き起こされる弊害は、老化、免疫機能の低下、がん、動脈硬化だと言われていますから、これらの予防を担ってくれるカテキン・タンニンの働きは、とてもありがたいもの。
エコな発想から生まれた番茶が、人々を守ってくれていたのです。
番茶の「番」という文字は、「日常的」という意味を持ちます。
日常的に飲むことが健康への第一歩になるなんて、素敵ですよね。