麦茶のテレビCMが増えてくると、「夏が来たなー」と感じます。
ご自宅で作るお茶も、夏になると麦茶に変更されること、少なくないのかもしれません。
やっぱり、夏は麦茶がいいの?それとも、緑茶のままで大丈夫?
今回は『麦茶vs緑茶』の視点で、お茶を考えてみたいと思います。
麦茶が世に登場したのは、平安時代のこと。
麦を炒って粉にする“麦こがし”と呼ばれる物があり、当時はそれをお湯に溶かし、濁り酒のようにして飲んでいたのだと言います。
江戸時代後期になると、それが街なかで売られるようになりました。
“麦湯屋”と呼ばれる屋台ができたのです。
そして、麦こがしを溶かした飲み物を、“麦湯”と呼ぶようになりました。
しかし、明治になるとカフェが登場。
コーヒーが飲まれるようになり、麦湯屋は街から姿を消してしまいます。
でもそれは、麦湯自体が無くなったのではなく、家庭へと場が移されただけ。
というのも、明治時代の家庭では水を生水では飲まず、一度沸かし、湯冷ましにして飲む習慣があったため、「どのみち沸かすのであれば麦湯にしよう」と考える人が多く、家庭に普及したのだと言われています。
そして昭和38年、簡単に麦湯が作れるようにと、パック入りの炒り麦が発売されます。
それまでは炒り麦を煮出し、こして飲む必要があったものを、パックごと煮出してパックごと捨てられるのですから、手間が大幅に削減されたことになります。
そしてその商品名が“江戸麦茶パック”だったことから、麦湯ではなく、“麦茶”という名が一般的に。
いかにこの商品が人気だったかが分かりますよね。
麦茶とは、麦湯。
つまり、「茶」という字はついているものの材料は大麦の種子のみ。
茶葉は含まれていません。
大麦を焙煎して得られる香ばしさを、楽しむ飲料です。
そのため分類上は、『茶外茶(茶葉を使用していない茶)』となっています。
麦茶の効果・効能
ではなぜ、麦茶は夏の飲み物となったのでしょうか。
それは、大麦の刈入れ期が5~6月で、その直後に加工したものが美味しかったからなのだとか。
また、科学的にも、夏の麦茶は体に良いことが分かっています。
では、夏の麦茶、そのメリットについて見ていきましょう。
・夏バテ対策
夏は汗をかきやすく、汗と一緒に体内のミネラルがどんどん流出。
このことが、夏バテの原因のひとつとも言われています。
そこで、麦茶!
大麦にはミネラルが豊富に含まれているため、麦茶を飲めばミネラルも一緒に摂取。
夏バテ対策の補助的役割を果たしてくれるわけです。
・胃腸の保護
麦茶には、胃の粘膜を保護する働きもあります。
夏の疲れは、胃腸にも出やすいもの。
胃が冷えることによる機能低下は、消化不良や胃もたれを引き起こし、下痢になってしまうことも。
そんな時、胃の粘膜を保護する麦茶は、力強い存在と言えるかもしれません。
・ノンカフェイン
カフェインには利尿作用があります。
そのため、夏にカフェイン入りの飲料を大量に飲むと、脱水に繋がる可能性が出てしまうことも。
麦茶にはカフェインが含まれていないので利尿作用がなく、安心して飲んでいただけます。
また、ノンカフェインであることは、小さなお子さま、そして妊娠中や授乳中のお母さんにも安心して頂ける飲み物だと言えます。
麦茶のココに注意!
さて、先ほどの章で、麦茶のメリットを3つ取り上げました。
とても良い飲み物であり、夏にはおすすめであるとも言えます。
でも、注意点があります。
知らずに飲むと、危険なことも!
ぜひこちらも、しっかりとチェックして欲しいと思います。
・とても腐敗しやすい
麦茶に含まれるものはミネラルだけではありません。
でんぷんやタンパク質も多く溶けだしており、緑茶や水に比べ、とても腐敗しやすいということを意識しておく必要があります。
たくさん飲むからと言って一気に作り、数日かけて飲む……というスタイルは絶対にNG!
作った麦茶は、翌日には飲み切ること!これが大切です。
・アレルギーに注意
大麦にアレルギー反応を示す方がおられます。
また、小麦アレルギーの方も、大麦に反応する方が一部おられると言います。
大麦アレルギーは広く知られていないので、注意が必要です。
・冷えに注意
麦茶は、冷やして飲むことの多い飲み物です。
そのため、ゴクゴク大量に飲み、胃腸を冷やしてしまうことも。
麦茶には胃腸の保護効果があるとはいえ、冷たい状態でたくさん飲んでしまっては意味がないことを知っておきましょう。
麦茶について書いてきましたが、夏の緑茶はどうなのか気になりますよね。
“麦茶vs緑茶”
さて、どういう結果になるでしょうか!
・緑茶にもミネラルが豊富に含まれています!
実は、緑茶もミネラルの宝庫。
麦茶同様、緑茶も夏バテ対策になり得る飲み物です!
・緑茶は悪玉菌に強い殺菌力あり!
緑茶に含まれるカテキンは、腸内の悪玉菌にのみ殺菌作用を発揮することが分かっています。
善玉菌はそのままに悪玉菌に作用することから、腸のサポート機能があると言えます。
・冷茶にすれば、カフェイン控えめ緑茶に!
緑茶葉にはカフェインが含まれているため、もちろん緑茶にも含まれてしまいます。
とはいえ、一般的な分量を飲む分には、問題はありません。
それでも気になる……という場合には、冷茶として淹れることで、カフェイン量を抑えることが可能です。
また、茶葉を少なめにして淹れてもいいですね。
・緑茶は腐敗しにくい!
先ほど、緑茶に含まれるカテキンに殺菌力があると書きました。
これは、人に対してだけでなく、緑茶自身にも効果を発揮します。
そのため雑菌が繁殖しにくく、腐敗しにくいお茶と言えます。
・緑茶アレルギー、ゼロではありません
緑茶にはアレルギー抑制効果があるとされているのですが、一方で、緑茶喘息の事例も見られると言う報告があり、ゼロだと言いきることはできません。
とはいえ、確認例はわずか。大麦アレルギーよりは少ないことが予想されます。
・緑茶は体を冷やしてしまいます
緑茶に含まれるカフェインには利尿作用があるため、体を冷やしてしまいます。
体を温めたい、冷えたくないという方は、飲み過ぎないよう気をつけましょう。
いかがでしょうか。
「夏と言えば麦茶!」ばかりでなく、「夏でも緑茶!」でも十分にOKであること、お分かり頂けたのではないかと思います。
麦茶を飲む際には腐敗やアレルギーに気をつけ、そして、緑茶を飲む際には飲み過ぎによるカフェイン摂取量に気をつけて、上手な水分摂取を行っていきましょう。