目次
〇合組とは
〇茶匠の仕事
〇合組の持てる力
お茶づくりに欠かせない技術のひとつに、『合組(ごうぐみ)』があります。分かりやすい言葉に言い換えると、ブレンドということ。
それぞれ個性のある茶葉の、香り・味・水色など特性を理解し、上手に混ぜ合わせ組み合わせることで、求められる商品を作り上げていく技術です。
すると、きっとひとつの疑問が湧くことと思います。
であれば、茶葉を品種改良し、合組をせずとも、香り・味・水色のすべてが整った茶葉を作り上げてしまえば、手間も省け、お茶づくりが楽になるのではないか?と。
そうですね、確かにそのような考えもあることと思います。しかし、そう簡単にはいかないのが農作物というもの。そしてそれが、農業の奥深さ。
茶葉の個性を決めるのは、品種だけではありません。同じ茶農家が同じ茶の木より摘んだ茶葉であっても、摘んだ日により、味はまったく異なるという事実。茶葉の味を決めるのは、土壌、品種、育つまでに過ごした天気、気温、日の当たり具合などの自然的要素、そして重要な茶園管理(土づくり、施肥など)が絡み合い、働き合って生まれるもの。いかに品種を改良しようとも、育つまでの環境が異なる以上、同じ味わいの茶葉を品種のみで変わりなく作り出すことは、不可能なのです。
また、時と場合に応じ、人がお茶に求める味わいは異なるということも、合組が不可欠である理由のひとつです。真茶園でも、合組を始め、焙煎、深むしなどの技術により、様々な味わいのお茶をご用意。お客様のご要望にお応えしています。
お祝いのシーンにご用意されるお茶、日常ゴクゴクお飲みいただくお茶、そして季節、どのようなシーンでも美味しく召し上がって頂けるよう、茶匠・松田は、常にお茶づくりを追及し続けます。
茶業界では、毎年『全国茶審査技術競技大会』という、お茶の鑑定力を競う大会が催されています。この競技会、ひと目見ただけでは同じようにしか見えない茶葉やお茶を判別、産地や品種、そして摘まれた時期に至るまでを見極める能力を競うもので、非常に難関であると知られています。各能力を数値化、その成績により段位を認定。そして、段位を取得した人が『茶匠』と呼ばれることになるのです。
つまり茶匠とは、自らの経験と五感をフルに活用し、お茶が見極められる人物であるということ。
一年間、茶農家さんが造る荒茶(お茶の原料)を厳選し、仕入れを行うのは、茶匠です。消費者の皆様に美味しいお茶をお届けするため、仕入れ作業はとてもシビア。茶農家さんは知り合いなのですが、だからといって情に流されるようなことはありません。毎年、変わらず美味しいお茶をお届けするために、厳しい目と舌をもって、真茶園の荒茶仕入れは行われているのです。
前述のように、ひとつの荒茶で香り・味・水色・茶葉のすべてが満点に近い状態であり得ることは皆無です。だからこそ、茶匠の『合組』、いわば緑茶のブレンドをする必要があり、そしてようやく、本当に美味しい、しかも一年間同じ香味のお茶をお届けすることができます。
合組という技術で茶匠が目指すのは、”1+1=2”の味を作り出すことではありません。経験と五感を持って、”1+1=10”にもしてしまう、真茶園では、そんな合組を行っています。
合組とは、決して補い合うための技術ではありません。組み合わせることで新たに生み出される味わいもあり、それぞれの茶葉の良さを高め合うことが目的です。
皆様に求められる味、そして愛される味を作り出すため、どう合わせていくのか。そこが、茶匠の腕の見せどころ。
茶匠・松田の手により作り出された真茶園のお茶の数々、その高め合った味わいを、どうぞお試し下さい。